研究課題/領域番号 |
16K21661
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
山口 創生 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部, 室長 (20611924)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 就労支援 / 援助付き雇用 / IPS / フィデリティ / 実践家参画 |
研究実績の概要 |
本年度は12の就労支援機関を対象として、日本版援助付き雇用フィデリティ尺度(JiSEF)を用いた調査を実施した。また、今年度は当初の予定通り、初めて実践家調査員だけでの調査となった。調査の結果、JiSEFの評価者間信頼性(ICC = 0.90)は高く、実践家調査員のみにおけるJiSEFを用いた調査の実現可能性が示された。また、JiSEF得点と就労アウトカム(機関就労率および3ヵ月就労率)との相関も良好であった(r>0.750)。 今年度は、フィデリティ調査のマニュアル化を目指して、調査に参加した実践家調査員および調査を受けた機関から、調査の記述的な感想や意見、満足度に関するアンケートデータを収集した。その結果、実践家調査員の多くが、フィードバックの際に、フィデリティ調査全体の説明、重点項目の採点理由、フィデリティ調査結果の議論、フィデリティ調査で表現できない機関の強みなどに時間を使っていることが明らかになった。また、調査を受けた機関の満足度を5段階で評価したところ、4機関が「やや満足」、8機関が「満足」としており、フィデリティ調査を受ける機関においても満足できるものであったことがうかがえた。さらに、今年度は実践家調査員による提案で調査前の事前の協議の実施をルール化したが、約80%以上の実践家調査員と調査をうける機関が実際にフィデリティ尺度についての事前協議・調整を実施していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の予定の通り、初めて実践家調査員だけのフィデリティ調査を実施した。また、調査実施前に、研究代表を含め、研修者と実践家の双方が参加するミーティングを実施し、調査項目の精査を行い、調査の実施に向けた工夫(事前協議の実施など)をまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、研究者と実践者の区別なしに、2名の調査員がフィデリティ調査参加機関を訪問し、再度JiSEFを用いた調査を実施する。その際に、フィデリティ調査に要した時間を計測し、その実現可能性を検証する。また、2016年度(初年度)に初めてフィデリティ調査を受けた機関に関しては、2017年度、2018年度の得点推移を計測する。さらに、機関の種別によって、得点しづらい項目などを検証する。最終的に、フィデリティ実施のマニュアルを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実地調査の訪問先によっては、他研究班での研究業務と合わせて、本研究費の調査業務を実施した。そのため、本件費から支払う交通費の支出を抑えることができた。平成30年度は、調査に加えて、マニュアルの作成など、実践家との意見交換のために繰り越した研究費を使用する予定である。
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