研究課題/領域番号 |
16K21664
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
加藤 朋子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (10638802)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 卵巣形成 / CRISPR/Cas9 / 発現解析 |
研究実績の概要 |
今年度は昨年度までに作製した、生殖腺で特異的に発現するmicroRNA-202をプロモーターに用いたdicer コンディショナルKOマウスについて解析を行った。Genotypingの結果、マウスの作出には成功したが、promoterとして用いたmir-202が、KOするのに十分な活性を持っていないことが示唆された。これらの成獣期のマウスを用いて解剖学的、組織学的解析を行ったが、顕著な生殖腺形成不全は認められなかった。次に、雌雄生殖腺で発現する遺伝子の細胞種の同定を目的とし、昨年度までにin situ hybridization用のprobeを作成していたが、特に4種類の遺伝子がRNAレベル雄生殖腺特異的あるいは雌生殖腺特異的な発現を示すことが認められた。これらの遺伝子については生殖腺分化中期(E13.5)のステージでのwhole-mount in situ hybridizationでも同様の確証が得られた。現在、生殖腺分化前期(E11.5)及び後期 (E17.5)のステージでの解析を試みている。さらに、機能が類似しており、互いがリダンダントに機能する可能性のある遺伝子であるIrx3とIrx5について同一染色体上で二つの遺伝子を同時に欠損させたダブルノックアウトマウスをCRISPR/Cas9システムにより作製し、F2世代以降で卵巣の組織学的解析を行ったが、卵巣形成は正常に進行しており、顕著な病理学的初見は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者は平成28年9月に研究室を異動しており、引継ぎや新しい研究室の立ち上げに伴う諸作業に忙しく、計画通りに進めることができなかった。DicerコンディショナルKOマウスについてはgenotypingの結果、KOマウスは得られたが、コンストラクトの中に挿入していたEGFPの発光が確認できなかった。このことからmir-202がプロモーターとして十分な活性を持っていない可能性が考えられる。雌雄生殖腺で発現する遺伝子として、4種類の遺伝子について生殖腺分化中期のステージにおける発現解析を行ったが、そのうち1つは精巣で、他3つは卵巣で強く発現することが確認された。来年度は生殖腺初期から後期にかけての発現解析を検討すると共に、生殖腺を含めた全身切片を用いて細胞種の同定を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに、対象となる遺伝子候補の抽出を完了したので、それらを中心にした時空間的発現解析を試みる。研究遂行中に新たな候補遺伝子が見つかった場合はそれも含めて検討する。本研究成果を論文として投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に異動となり、新たな研究テーマのセットアップに時間を費やしたこと、また現在論文投稿直前まで来ており、サンプル追加による組織学的解析実験の再実験が求められる可能性があるため、そのための費用に充てたい。
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