• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

偽性副甲状腺機能低下症1bにおけるインプリンティング異常発症機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K21665
研究機関国立研究開発法人国立成育医療研究センター

研究代表者

中村 明枝  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 共同研究員 (90724708)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード内分泌学
研究実績の概要

20番染色体上のGNAS領域に存在するGNAS A/Bの低メチル化により引き起こされる偽性副甲状腺機能低下症(以下PHP)1b型の病態は未解明の点が多い。今回、先行研究として約60例のPHP症例の解析を行い、その中で全ゲノムシークエンス解析により複雑な染色体再構成を伴うPHP1b家族例を報告している。今回、GNAS A/B単独の低メチル化を呈するが原因不明であったPHP1bの兄妹例に対して、全ゲノムシークエンス解析を用いてゲノム構造異常を同定することを目的とした。上記症例はアレイCGHやMLPAによるコピー数解析あるいはエクソーム解析によるGNAS周辺あるいはGNASに関連する遺伝子変異解析を行ったが、コピー数異常や遺伝子変異は同定されなかった。しかし、全ゲノムシークエンスをおこなったところ、GNAS領域、NESP55のエクソン1とエクソン2の間に1kbのレトロトランスポゾン挿入を確認した。同定された染色体構造異常によるPHPは過去に報告がなく、全ゲノムシークエンス解析を行わなければ同定は難しかったと考えられる。今までの報告より、STX16を含む転写産物あるいはNESP55の転写産物が母アレルのGNAS A/Bのメチル化に関与すると考えられており、レトロトランスポゾン挿入によりこれらの転写産物の発現異常がGNAS A/Bの低メチル化に関与しているのではと想定した。GNAS A/Bのメチル化障害の病態を解明するため、罹患者2名の皮膚線維芽細胞を作成し、今後、GNAS領域の転写産物のmRNA発現や3’ーRACEあるいは次世代シークエンサーを用いたRNA-Seqにより異常転写産物の同定を目指す予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在まで原因不明であったGNAS A/Bの単独低メチル化を呈するPHP1b兄妹例において、全ゲノムシークエンス解析を行ったところ、責任領域であるGNAS領域にレトロトランスポゾンの挿入を同定できた。更にGNAS関連の遺伝子発現を確認するため、罹患者より皮膚線維芽細胞を採取しており、qPCRあるいはddPCRを用いた遺伝子発現定量の予備実験も終了しており、当初の予定通りの進行状況と考えている。上記の実験で、異常転写産物を同定できなかった場合は、次世代シークエンサーを用いたRNAーSeqを行う事も考慮している。RNA-Seqのデータ解析のパイプラインもすでに確立しており、他方面からのアプローチ方法も考えている。

今後の研究の推進方策

全ゲノムシークエンスの結果、GNAS領域、NESP55のエクソン1とエクソン2の間に1kbのレトロトランスポゾン挿入を確認した。レトロトランスポゾン挿入によりGNASH関連の転写産物の発現異常がGNAS A/Bの低メチル化に関与しているのではと想定した。GNAS A/Bのメチル化障害の病態を解明するため、罹患者2名の皮膚線維芽細胞を作成し、今後、GNAS領域の転写産物のmRNA発現定量や3’ーRACEあるいは次世代シークエンサーを用いたRNA-Seqにより異常転写産物の同定を目指す予定である。

次年度使用額が生じた理由

初年度で集積予定だった新規の偽性副甲状腺機能低下症(以下PHP)症例が想定数よりすくなかっため、原因不明のPHP症例の解析にかかる費用が初年度に使い切ることができなかった。

次年度使用額の使用計画

次年度は、引き続き、GNAS A/B単独の低メチル化を来すPHP1b兄妹例の全ゲノムシークエンス解析の結果より、皮膚線維が細胞を用いてmRNA発現やクロマチン立体構造解析などを行い、その発症機序の解明を行う。更に、初年度で終了予定であった新規のPHP1b症例の集積・解析を次年度も継続し、GNAS領域でのシス因子の塩基置換や微小欠失・重複の有無について解析を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Complex Genomic Rearrangement Within the GNAS Region Associated With Familial Pseudohypoparathyroidism Type 1b2016

    • 著者名/発表者名
      Okie Nakamura, Erika Hamaguchi, Reiko Horikawa, Yasuyuki Nishimura, Masayuki Yamada, Keiko Matsubara, Shinichiro Sano, Yoichi Matsubara, Akihiro Umezawa, Toshihiro Tajima, Tsutomu Ogata, Masayo Kagami, Kohji Okamura and Maki Fukami
    • 雑誌名

      J Clin Endocrinol and Metab

      巻: 101 ページ: 2623,2627

    • DOI

      10.1210/jc.2016-1725

    • 査読あり / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi