研究課題
胆汁酸は小腸下部で再吸収され門脈を経由し肝臓へ運ばれ化学抱合を受けたのち再度小腸へ分泌される腸肝循環が行われる。最近、疾患と関連する脂肪酸の新たな作用が着目され、さらに胆汁酸が脂肪吸収のみならずそれ自体さまざまな生理活性機能を持つことが報告されてきた。腸管における脂肪吸収と腸管吸収機能不全との関連を分子レベルで解明していくため、単一遺伝子性疾患に着目し体外培養系の疾患モデル構築を行っていく。本研究にかかる臨床研究計画(「腸に異常を有する疾患の疾患特異的iPS細胞による疾患モデルの作成、疾患解析および治療法開発に関する研究」)が国立成育医療研究センター倫理委員会で承認受けた(受付番号927)。適切なインフォームドコンセント手続きの下同意が得られた組織検体を本研究へ用いる。今年度は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型(PFIC1)の組織検体から初代細胞を樹立し、ヒト人工多能性(iPS)細胞技術をによりiPS細胞の樹立を行った。iPS細胞の特性解析から分化多能性を有することを確認し安定して維持培養でき細胞ストックを構築した。
2: おおむね順調に進展している
PFIC1組織解析、疾患特異的iPS細胞の樹立を行ったため。
[病態解明・治療薬開発]これまでPFIC1患者の肝臓における病態については数多く研究されてきているが、小腸についての研究は殆ど成されていない。疾患モデルを用いて、FXRのリガンドであるケノデオキシコールの添加し、SLC10A2の発現の変化を分析するなど、in vitroの実験を行うことによって病態解析を行う。また、既存の薬剤の添加実験を行い、SLC10A2の発現が増強する薬剤を探索・評価する。肝臓において、フェニルブチレートが肝臓の胆汁酸トランスポーターであるABCB11の発現を増強させると報告されているが(Hayashi H, et al. Hepatology 2012)、申請者らはこの薬物を腸管におけるトランスポーターの発現を誘導する有力な候補として考えている。
当初予定していた研究打合せ旅費の支出を行わなかったため。
次年度に物品の購入費として充当する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件)
Liver Transpl
巻: Feb 21 ページ: -
10.1002/lt.24743
Pediatr Transplant
巻: 21 ページ: -
10.1111/petr.12848
JCI Insight
巻: 2 ページ: e86492
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巻: 51 ページ: 1807-1811
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