本研究の最終年度では、昨年度までに実施された1)東京都A区内保育施設における野菜摂取指導の普及状況の実態調査、および2)平成27年度より実施している、A区立小・中学校児童・生徒を対象とした縦断調査によって得られたデータの結果の分析と公表を行った。 1)A区では2013年より、糖尿病をはじめとした生活習慣病を予防するため、「野菜から食べる」「野菜を3食食べる」「野菜をよく噛んで食べる」ための取り組みを行っている。この取り組みの一環として、区立保育園では、野菜から食べる習慣を身につけられるよう指導を行ってきた。区立保育園7園に通う園児135名の保護者に対し、園児の食習慣に関する質問紙調査を行い、そのデータを分析した。4歳時点では、児の食習慣について「よい」と認識している保護者の子どもは、児の食習慣について「よくない」と認識している保護者の子どもと比べ、野菜や豆類、魚介類などの摂取量が多く、脂質の摂取量が少なかった。また5歳時点では、毎食野菜料理をはじめに食べる児は、野菜料理をはじめに食べることがほとんどない・全くない児に比べ、野菜の摂取量が多かった。これらの結果より、A区公立保育園で実施されている取り組みに、一定の効果が確認できた。 2)平成27年度より実施しているA区立小・中学校児童・生徒を対象とした縦断調査のプロトコルを記載した論文を発表し、今後継続する調査の目的と課題を整理した。また、昨年度までに実施した縦断調査のデータを分析し、中学2年生時点での境界型糖尿病リスクと、朝食欠食などの生活習慣との関連を明らかにした。
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