研究課題
好酸球性消化管疾患(EGID)は、消化管における異常な好酸球浸潤を特徴とし、主に食物をアレルゲンとしたアレルギー疾患と考えられているが、その発症機序や病態形成のメカニズムは未だ不明である。腸内細菌叢は経口免疫寛容の成立や特定のリンパ球の選択的な分化誘導に関わっているが、経口免疫寛容が不成立あるいは破綻しているEGID患者において、経口免疫寛容に重要な役割を果たす腸内細菌叢に関して十分な検討はない。本研究では、EGIDの便・組織検体を用いた腸内細菌叢解析ならびにメタボローム解析により、未だ解明されていない疾患特異的な腸内環境パターンや組織特異的な関連微生物ならびに代謝産物を明らかにすることを目標とし、研究実施計画(2016年度:①便を用いた細菌叢解析とメタボローム解析、②内視鏡サンプルを用いた局所細菌叢解析、2017年度③前年度データの統合解析)を立案した。今年度は主に予定していた検体の収集と細菌叢・代謝物の測定を実施した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、EGIDの対象者5名とともに小児炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)の疾患対照者10名から検体を採取することができた。便ならびに内視鏡サンプルからのDNA抽出も問題なく、次世代シーケンサーによる腸内細菌叢解析を施行することができた。また、便検体については限外濾過などの前処理の後に、キャピラリー電気泳動-質量分析計によるメタボローム解析を施行した。
予定通りデータが得られているため、それぞれのデータを順次解析していく予定である。EGID群、IBD群(潰瘍性大腸炎;UC群, クローン病; CD群)の群間での差異を比較し、疾患特異的な腸内細菌叢ならび代謝産物を明らかにするとともに、各群における局所での細菌叢解析を明らかにする。また、それらのデータを統合解析することにより、どのような代謝産物・化合物がどのような細菌種と有意に相関しているか、EGIDに関わる腸内環境の特徴を解析する。
次年度も引き続き解析を行う必要があるため
疾患特異的な腸内細菌叢ならび代謝産物を明らかにするための統合解析実施費用および成果発表に係る費用
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件)
J Allergy Clin Immunol Pract
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