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2016 年度 実施状況報告書

二重課題遂行サルを用いた、認知資源の神経基盤と配分機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K21686
研究機関国立研究開発法人情報通信研究機構

研究代表者

渡邉 慶  国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (00772740)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード神経生理学 / 認知行動科学 / ニューロン活動 / 局所電場電位
研究実績の概要

本研究は、認知資源の神経基盤と配分機構の解明を目的とする。認知資源とは、一定の容量限界を持つ心的エネルギーであり、様々な認知活動の遂行に不可欠であると考えられている。認知資源が脳内に存在する証拠として、2つのことを同時に実行しようとするとどちらも上手くできない「二重課題干渉」という現象が知られている。
本研究の当該年度では、(1)視覚性注意課題と視覚性短期記憶課題の2つの課題を同時におこなう二重課題を2頭のサルに訓練し、サルもヒトと同様に二重課題の遂行が可能であるものの、彼らの行動成績は二重課題干渉を呈することを確認した。(2)1頭のサルの前頭連合野に32本の移動式の神経活動記録用電極を慢性留置し、二重課題遂行中の前頭連合野外側部尾側の神経活動を数か月間記録した。(3)記録した約600個のニューロン活動と、同時に記録した局所電場電位(LFP)を分析した結果、前頭連合野外側部尾側のニューロン活動は、サルが行動レベルで二重課題干渉を示すのに応じて二重課題干渉効果を呈することが明らかになった。また、前頭連合野外側部尾側においては、単一課題条件では応答しないが二重課題条件にすると応答を示すような、二重課題に特有の情報処理を担うニューロンの割合が少ないことが明らかになった。なお、本研究は、研究協力者である大阪大学国際医工情報センター平田雅之寄附研究部門教授の協力のもとで実施された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

(1)当初予定していた通り、被験体(サル)の課題訓練を当該年度中に終了することができた。
(2)研究実施計画作成時に計画したよりも多くの神経活動データを取得することができた。
(3)得られたデータを分析した結果、データを上手く説明する法則性を見出すことができた。
(4)当該年度で得られた結果をもとにした論文が国際誌に受理された(掲載確定)。

今後の研究の推進方策

次年度は、当該年度の結果をベースとして研究実施計画どおりに研究を推進する。具体的には、前頭連合野外側部で、当該年度では未記録の部位であった前頭連合野外側部最前部(吻側部)からの神経活動記録を行う。その後、薬剤の局所注入による局所機能脱落実験を行い、前頭連合野外側部の各サブ領域が、認知資源の神経基盤にどのように関与しているのか、因果関係を明らかにする。さらに、当該年度で得られた結果と次年度の結果をまとめ、論文の発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は、250円であった。当該年度に必要な物品費・旅費などの支出を行ったところ、直接経費残高が250円になることが判明した。これはきわめて少額であるため、次年度に繰り越して活用することとした。

次年度使用額の使用計画

次年度に購入を予定している物品を購入する際に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件)

  • [国際共同研究] University of Oxford(United Kingdom)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Oxford
  • [雑誌論文] Stable and dynamic coding for working memory in primate prefrontal cortex2017

    • 著者名/発表者名
      Eelke Spaak, Kei Watanabe, Shintaro Funahashi, Mark Stokes
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] モーショントラッキング機能を備えたラット二重課題実験系の構築2016

    • 著者名/発表者名
      松尾康平・海住 太郎・中園智晶・渡邉慶 ・鈴木隆文
    • 雑誌名

      電気学会論文誌C

      巻: 136 ページ: 1324-1334

    • DOI

      10.1541/ieejeiss.136.1324

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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