強い恐怖記憶は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症に繋がりうる。PTSDの発症を適切に予防して治療するためにも、恐怖記憶メカニズムの理解が不可欠である。しかしながら、現実の場面で遭遇するような、複数のモダリティーを対象とした恐怖記憶を題材とした研究はまだ少ない。また、人を対象とした研究では、侵襲的な計測が難しく、人の恐怖記憶形成メカニズムの理解の多くが、動物実験の結果を元に推測されている。本研究では複数の感覚モダリティーを対象としただけでなく、従来よりも3から4倍の空間解像度をもつ7T-fMRIを用いて非侵襲的に精緻なメカニズム検証に取り組み、その社会的・臨床的な意義は大きいと言える。
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