本研究では,ヒトがどの程度,脳を使用しているかを表す指標であるワークロードを客観的かつ定量的に評価する方法を確立した.実験では,歩行という日常的に行われる環境下において,ウェアラブル脳波計を使い,ヒトの脳波を計測した.その結果,聴覚定常状態応答という脳波成分は,ヒトが精神的に余裕のある状態において強く反応したが,逆に複雑な課題を行っている状態,すなわちワークロードが高い状態においては,抑制されることが示された.この成果は,聴覚定常状態応答がヒトのワークロードを客観的かつ定量的に評価する指標として有用であることを示している.
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