本研究は,ワーキングメモリ機能の個人差に着目し,その個人差を生じさせる神経メカニズムの解明に取り組むことで,ワーキングメモリの全容に近づくことを目指した。本研究では,予てからワーキングメモリ機能の個人差との関係が指摘されてきた前頭前野の働きに着目し,その活動強度だけでなく,課題遂行中の機能的結合強度や安静時の機能的活動強度についても視野を広げ,個人差の基盤となる神経メカニズムの検討を進めることを目的とした。そして,ワーキングメモリの個人差の基盤となり得る3つの神経メカニズムを含めたモデルを導き出し,今後の研究分野が進むべき方向性を打ち出した。
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