研究実績の概要 |
本年度は、まず昨年度行った解析をより精緻にするため、さらなる解析を行った。 DPCデータを用いた分析では、心筋梗塞患者約14,000人が対象として抽出された。対象者のうち、入院中に心リハを実施した患者は65.4%であった。これらの心リハ実施群では、退院後に再び血行再建術を実施するリスクが非実施群と比べて26%低かった。同様に、退院後に再入院するリスク(原因を問わない)は19%、心疾患による再入院のリスクは23%低いことが分かった。これらの結果は、現在論文投稿中である。 次に、5つの医療機関において実施したカルテ調査では、299名のカルテ情報を収集することができた。これらの患者について、カルテから得た併存症情報とDPCデータに入力された併存症情報を比較したところ、心筋梗塞の発症あるいは予後に関連する項目(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)の感度は70.5~78.0%であった。また、DPCデータに含まれない項目として、術中所見や検査値の収集を行った。その結果、心リハ群で有意に罹患枝数が多く、peak CK値が高く、退院時の左心室収縮能が低いことが分かった。現在、これらの情報を用いた検証を遂行中である。
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