研究課題/領域番号 |
16K21704
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
佐久間 大 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 講師 (00434027)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 待ち行列理論 / オペレーションズ・リサーチ / ゲーム理論 / Nash均衡 |
研究実績の概要 |
到着客に対して受付期間がある単一窓口待ち行列モデルにおいて,各客が自身の待ち時間を最小化とした場合,均衡した期待待ち時間を実現する到着時点分布を求めた.ここでは,離散時間の待ち行列モデルを考え,そのシステム内仕事量に着目することにより,先行研究では扱うことのできなかったサービス時間を一般化したモデルの解析を可能にした.さらに本研究では,均衡を実現する解(到着時点分布)を求めるための数値計算アルゴリズムを導出し,先行研究では明らかにされていなかった解の存在性を理論的に示すことにも成功した.このようにモデルの一般化だけでなく解の存在性を示したことは,本研究は当該分野における理論面での発展に寄与できたといえる. さらに本研究では,サービス時間分布の形状が均衡における到着時点分布および期待待ち時間に与える影響について数値実験を実施した.ここでは,サービス時間が定数,幾何分布もしくは二値分布に従う3つの場合について,同一の期待値をもつとした場合の比較実験を行った.実験結果から,サービス時間分布の分散が増加するとともに,受付期間の特に初期における到着確率が増加するだけでなく,期待待ち時間も場合によっては数十%程度増加することが分かった.この結果は,現実の受付期間があるサービスシステムにおいて,サービス時間のばらつき(分散)が大きいほど,利用者の不利益が増加しうることを示唆している.ゆえに本モデル解析により,現実の受付期間があるサービスシステムにおいて,その設計および運用のための知見を得られることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も基本的なモデルについて,理論解析および数値解析の両面の目途が立った.
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今後の研究の推進方策 |
最も基本的なモデルの解析について目途が立ったため,モデルにおけるサービス時間分布以外の一般化を目指し,それらが均衡における到着時点分布および期待待ち時間に与える影響について解析を進める.さらに一般化されたモデルの解析が理論及び数値的に困難である場合には,対応する近似モデルについて解析を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際会議について,学内スケジュールとの折り合いが付かなかったことを理由として,参加できなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究者と数値実験について打ち合わせを行うために,旅費および持ち運びが可能である高性能なノートPCを購入のために使用予定である.
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