研究課題/領域番号 |
16K21706
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研究機関 | 山梨県立博物館 |
研究代表者 |
丸尾 依子 山梨県立博物館, 山梨県立博物館, 学芸員 (10574155)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 写真の読み解き / 画像資料の活用 / 博物館における写真の資料化 |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究として、主として次のような内容を実施した。 1.スキャニングと台帳および資料カードの様式の作成:平成28年度に引き続き、館の既存の機材を使用しながら若干ではあるがスキャニングを実施した。また、平成28年度に検討した分類項目に基づき、写真番号、ネガ番号、分類、キーワード、撮影地などを記載した台帳の作成を行った。同時に資料カードの様式を整え、スキャンや調査を実施した写真については、これらへの記入を行った。 2.現地調査、聞き書き調査、および撮影内容の分類:平成28年度に引き続き、撮影者による「撮影メモ」などにより、撮影地が明らかな写真については、撮影地の現状確認と被写事象の抽出、撮影時の状況との比較検討などの追跡調査を行った。また、甲府市内の写真を中心として、月1回を目安に継続的な聞き書き調査を実施した。調査では、話者に対象写真やネガを見ていただきつつ撮影時期と場所の確認、被写事象の抽出、現状確認を行った。 4.写真資料の活用案の試行:小学校に博物館職員が出向いて行う「出前授業」において、写真資料を活用した授業を実施した。 研究成果の一部は、当該写真の活用に関する学校教育機関と他の博物館・美術館からの問い合わせやそれらの機関における画像利用に還元した。なお、「出前授業」においては、昭和40年代の写真を中心として使用し、写真を単なる過去の説明資料として用いるのではなく児童たちとともに被写事象を読み解くことを目的とした。さらに、その後に写真と関連のある生活用具の使用体験を行った。この授業内容については、写真の内容を深く見ていくことで、撮影当時の生活環境や考え方、生活の工夫などがより具体的にイメージできたとの感想を得ている。今後、「読み解き」の手法そのものも含めた写真資料の活用方法についても検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成29年度は館内の配置替えなどの環境変化に伴う業務の多忙化により本研究のための時間を捻出することが困難となったが、昨年度からの継続作業を中心に進め、可能な限り調査研究を進めるよう努力した。全体としての進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度においては、これまでの遅れをできるだけ取り戻すべく、スキャン作業やカード化および台帳作成、整理作業を行う時間の確保に努めたい。また、聞き書きや現地調査についても適宜実施するとともに、並行して博物館事業や学校教育への成果の還元や、活用方法の検討にも努めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
スキャニングのための機器を購入予定であったが、デジタル化のためのまとまった時間を確保する見込みが立たず購入を見送った。一部の写真について実施したデジタル化は、館の既存の備品機器を一時的に使用して実施した。先行の写真研究の調査についても、遠方への調査を見送り近隣地域を中心に実施したため、旅費の使用に至らなかった。また、平成29年度に実施した聞き書き調査では調査謝金を使用予定であったが、話者が謝礼を辞退したため、使用に至らなかった。 今後の使用計画としては、平成30年度にスキャニングを実施するために、物品費によって機器を購入できるよう手配しているところである。購入後は本研究のために機器を占有することができるので、より効率的に作業を実施できる。 旅費・人件費・謝金についても、平成30年度の調査と作業において使用する。
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