研究課題/領域番号 |
16K21740
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
室岡 健志 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授
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研究期間 (年度) |
2017 – 2019
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キーワード | 行動経済学 / 産業組織論 / ナイーブ |
研究実績の概要 |
本研究課題は、消費者の一部がナイーブな(システマティックなバイアスを持っている)場合における、市場理論及びその効率性への理解を進展させることを目的とする。今年度の主な研究実績としては、最適消費者保護政策の理論分析についての研究成果をThe Timing of Choice-Enhancing Policies(Marco A. Schwarz氏との共著)というタイトルの学術論文にまとめたことが挙げられる。本学術論文は、国際学術誌であるJournal of Public Economicsに投稿し、査読・改訂・再投稿のうえ掲載が決定し、2018年1月に掲載された。本学術論文はナイーブな消費者と合理的な消費者が混在する場合の寡占市場理論・産業政策理論に焦点をあて理論的に分析したものであり、行動産業組織論の学術的なフロンティアを進展させるとともに、現実の市場における経済厚生および消費者保護政策への含意を導いたものである。また、消費者庁と公正取引委員会のそれぞれから本研究論文に関する講演・研究報告の招待を受け、本研究論文における日本の消費者保護政策・競争政策についての含意について報告した。 さらに、上記研究を進める上で関連した別の研究プロジェクトが新たに立ち上がり、現在は同共著者と共に研究を進めている。並行して、他共著者との各研究プロジェクトをそれぞれ進展させた。これらについては、平成30年度以降に学術論文として完成させ、国内および海外のセミナー・ワークショップ・学会での研究報告を充分に行ったのち、国際学術査読誌に順次投稿の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記研究計画に基づくプロジェクトである、最適消費者保護政策の理論分析の研究成果となる上記論文を投稿し、Journal of Public Economicsに公刊した。経済学の標準的な査読にかかる年数と比し、この成果は極めて早く結実したものであると考えられる。なお、この論文は執筆当時ドイツ・ミュンヘン大学経済学部博士課程の学生であり、現在はオーストリア・インスブルック大学のポスドクであるMarco A. Schwarz氏との共著である。合わせて、本研究論文について、国内および海外のセミナー・ワークショップ・学会にて研究報告を行った。また、消費者庁と公正取引委員会のそれぞれから本研究論文に関する講演・研究報告の招待を受け、本研究論文における日本の消費者保護政策・競争政策についての含意について報告した。さらに、上記研究を進める上で関連した別の研究プロジェクトが立ち上がり、同共著者と現在研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
上記出版論文と関連した別の研究プロジェクトが立ち上がったため、同共著者と研究を進めていく。並行して、他共著者との各研究プロジェクトについても、各共著者を招聘または現地訪問することなどを通じそれぞれ進展させ、研究を進める。これらの各プロジェクトについて、平成30年度以降に学術論文として完成させ、国内および海外のセミナー・ワークショップ・学会での研究報告を充分に行ったのち、国際学術査読誌に順次投稿していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は未使用金が計65,781円生じた。これの主な理由としては、学会・セミナー・ワークショップに参加した際、現地ホテル代など費用の一部を招聘大学側からの支出があったことによる(なお、他機関から支出して頂いた費用については、二重受給にならないよう、科研費の旅費申請から適宜減額している)。
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次年度使用額の使用計画 |
上記未使用金の次年度における使用計画としては、学会・セミナー・ワークショップにより精力的に参加し、研究成果の周知により勤しむ予定である。
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