研究課題/領域番号 |
16K21741
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
森田 穂高 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00791956)
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研究分担者 |
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40326004)
都留 康 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (00155441)
石川 城太 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80240761)
伊藤 秀史 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (80203165)
Tang Cheng・Tao 国際大学, 国際関係学研究科, 講師(移行) (00799330)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 企業間競争 / 企業の理論 / 内部労働市場 / 人的資本 / 実験分析 |
研究実績の概要 |
産業組織論の主要テーマである企業間競争ならびに企業の境界に関して、新たな視点から分析することが本研究の課題である。平成30年度は、その目的の達成に向けての準備と分析が進んだ。森田(研究代表者)はTang(研究分担者)と共同で、労働市場での企業間競争に資産とその企業特殊性および経営者の経営能力を取り入れた新たな理論モデルの分析を完成させ、内外の学会での報告や当該分野の権威であるWaldman教授(コーネル大学)を招聘しての議論などにより、分析の質と精度を向上させた。森田はServatka(マコーリー大学)と共同で、アイデンティティが事後の非効率性軽減に果たす役割を実験分析する論文を国際査読誌に出版するとともに、企業の境界・公平感・企業内昇進構造に関する実験デザインを策定して実験を開始した。森田は石川(研究分担者)・椋(学習院大学)と共同で、製品市場における不完全競争下での平行輸入とアフターマーケットの関連を分析する論文を完成させた。神林(研究分担者)は森田と連携しつつ、日本版Management and Organizational Practice Surveyの平成31年度実査に向けた準備を進めた。都留(研究分担者)は森田と連携しつつ、製品アーキテクチャと人材マネジメントに関する研究成果を学会などで報告、また競争戦略と人材マネジメントに関して実務家と定期的に意見交換する研究会を立ち上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者と研究分担者が協力しつつ、各自の担当分野において、ほぼ想定通りの成果をあげた。とりわけ、労働市場での企業間競争に資産とその企業特殊性および経営者の経営能力を取り入れた理論モデルの開発は、今後、労働市場と製品市場における企業間競争の相互連関を分析するモデルを構築してゆくにあたっての重要なステップとなる。また、アイデンティティが事後の非効率性軽減に果たす役割を実験分析する論文の完成は、今後アイデンティティが企業組織において果たす役割を様々な角度から分析するための足がかりになるものである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題に関連して研究代表者と研究分担者があげてきた成果を学術論文として発表してゆくとともに、研究をさらに発展させてゆく。具体的には、労働市場と製品市場における企業間競争の相互連関を分析するモデルを構築するとともに、製品アーキテクチャを鍵概念の一つとして取り込むことを検討する。また、アイデンティティが企業内昇進に果たす役割、企業の境界と公平感の関係などを分析する実験を実施する。さらに、日本版Management and Organizational Practice Surveyの実査を行い、成果のとりまとめを開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外招聘に関し労働市場と製品市場の相互連関分析と関連の深い両面市場分析の権威であるArmstrong教授の招聘が平成31年度にずれこんだこと。実験実施に関してServ〓tkaが半年間アラスカ大学を訪問することになったことに伴ってその実施が平成31年度にずれこんだこと。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のArmstrong教授に加えて、人事経済学の専門家である加藤隆夫、Kathryn Shaw、Peter Kuhn各教授、組織経済学の専門家であるArijit Mukherjee、Henry Schneider、Hongyi Li、Robert Ackerlof各教授を招聘し、研究の諸側面についての議論を深める。また、サーベイ調査については、日本版MOPSの実査に向けた調査設計を行う。さらに、アイデンティティーならびに公平感に関する実験を実施する。
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