研究課題/領域番号 |
16K21743
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 慎太郎 東京大学, 大学院経済学研究科, 准教授
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研究期間 (年度) |
2017 – 2019
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キーワード | 保育 / 女性就業 / 幼児教育 / 攻撃性 / 多動性 / 言語発達 |
研究実績の概要 |
本年度は政府統計の利用申請とデータの整理を行った。幼い子供達を抱える家庭に注目した21世紀出生児縦断調査には、両親の就業や、家事、子育て、またそれに加えて子供の発達・健康に関する情報が記録されており、包括的な子育て家庭の分析を行った。 保育所に関しての情報は、社会福祉施設等調査、福祉行政報告例、地域児童福祉事業等調査などを通して得た。保育所の運営は現在市町村単位で行われているため、家計・個人データの居住地情報と組み合わせることにより、個々の家庭が直面する保育所の質や利用のしやすさに関する指標を作成した。保育所の質は保育士の配置状況や施設面の充実度などから捉え、保育所の利用のしやすさについては、当該地域の子供一人あたりの認可保育所定員数などで測った。 計量経済学モデルの推定も簡単なものから開始した。特定の関数形に結果が左右されないようにノンパラメトリック・セミパラメトリック推定法を適宜活用している。また標準誤差の推定にはブートストラップ法が必要になったが、こうした手法を使うと計算量が多くなり、かなりの時間を要した。しかし、本年度高性能なワークステーションを導入することにより、効率的に研究を進めることができた。 現在、データ収集・分析の最中であり、さらなる研究成果は平成30年度および31年度に得られることが見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで研究計画に従って順調に進んでおり、次年度以降も研究計画通り進めていく。 具体的には、平成29年度の結果に基づき、両親の家事、育児への影響を分析する。家事に関する変数は、家事に費やした時間、具体的な内容(例 : 洗濯、食事の支度)、利用した家事関連サービスとそれに対する支出などを利用する。育児に関する変数は、育児に費やした時間、具体的な内容(例 : おむつ交換、食事の世話)、保育所以外の保育・教育サービス利用の有無とそれに対する支出を利用する。これらの変数を利用することで、保育所利用が家庭内の生産活動にどのような影響を及ぼすのか、1年目の研究結果とあわせて詳細に分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、特任研究員と学術支援職員を採用予定であったが、採用活動が不調に終わった。また、海外から研究者を招聘する予定であったが、そのうちの数名は都合がつかず年度中に来日することが出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降、特任研究員と学術支援職員を採用する。また、海外研究者の招聘も、次年度以降の来日について同意が取れたため、次年度以降助成金を使用する予定である。
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