研究課題/領域番号 |
16K21749
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研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
横山 英樹 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 特命准教授 (60397908)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 細胞骨格・運動 / 分裂期 / 紡錘体 / 染色体分配 / 疾患誘導機序 |
研究実績の概要 |
同定した200タンパク質の内4分子(SART1、CDC5L, TRIP12, GLTSCR2)について、HeLa細胞でRNAi法を用いて各遺伝子をノックダウンし、全てが分裂期に異常を示すことを明らかにした。特にSART1のRNAiでは、微小管は重合されるが両極性の紡錘体を形成できなかった。またCDC5Lがない場合には、紡錘体形成は正常なものの、顕著な染色体整列異常を示した。これらの異常は、所属機関のセンダイウイルスベクターを用いて標的タンパク質を発現すると改善された。つまり、CDC5Lが紡錘体形成に、SART1は染色体整列に必須であるという発見に至った。 4分子の詳細な分子機能を明らかにするために、それらの組換えタンパク質を大腸菌で発現・精製した。組換えタンパク質を使ってin vitro微小管結合アッセイを行ったところ、TRIP12が微小管に直接結合することを明らかにできた。次に組換えタンパク質を抗原としてウサギポリクローナル抗体を作製して、特異的な抗体を得た。抗体ビーズを用いてカエル卵抽出液より内在性TRIP12、SART1を除去し、細胞周期の再構成反応を行った。どちらの場合も分裂期の微小管量が激減し、紡錘体が形成されなかった。組換えTRIP12を卵抽出液に加えると異常が改善されたため、TRIP12が微小管形成に必須であることを明らかにした。今後この無細胞系で可能な種々のアッセイを行い、各タンパク質の分子機能の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極めて少人数での研究であったが、上記の様な発見をすることができた。同定した約200のタンパク質群が、分裂期の未知の分子機構を解明する極めて優れたリソースとなることを再確認した。
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今後の研究の推進方策 |
それぞれのタンパク質の機能を明らかにし、論文発表を行い研究を完結させるためには、新たな技術・アッセイを取り入れて解析することが不可欠である。それら専門家との共同研究を、国際共同研究加速基金の趣旨に従い活発に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に集中できる研究協力者を確保できなかった。次年度は研究代表者の部局に研究協力者が配属されることになるので、人件費をこれに使用予定で、協力者が研究成果をあげられるよう十分に指導していく。一方で、本基金で認められている補助事業期間の一年延長を申請する計画である。
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