研究課題
Foxp3陽性制御性T細胞は、免疫応答の調節役として機能する。制御性T細胞の持つこの免疫抑制能を炎症性疾患治療に活用すべく研究を進めている。特に、制御性T細胞上に発現する抗原受容体(T細胞受容体)と受容体下流のシグナル伝達分子に遺伝子改変を施し、改変制御性T細胞の生体内でのふるまいを観察する事で、制御性T細胞による免疫抑制の過程において、抗原受容体や抗原特異性がどのような役割を果たすのかについて解明を行う事を試みている。令和3年度は、令和2年度に引き続き、ウィルスベクターを用いてマウス由来T細胞株やマウス由来制御性T細胞(初代培養細胞)に遺伝子改変を加え、改変受容体の最適条件について検討を行った。リンパ球欠損マウスへの改変制御性T細胞の移入も行い、免疫抑制能の評価も行った。シグナル伝達部位の組み合わせや抗原特異性の異なる複数のキメラ抗原受容体を作製し、in vitroでの試験により、制御性T細胞の性質を損なう事なく、抗原刺激により抗原特異的に制御性T細胞の良好な増殖を促すキメラ抗原受容体の選別する事ができた。しかしながら、これらのキメラ抗原受容体を発現する制御性T細胞をマウス生体に移入しても、細胞が急速に失われる、もしくは、制御性T細胞の機能に必須の役割を果たす転写因子Foxp3の発現を失い、制御性T細胞として機能しなくなる、という問題が起こり、正常に機能する改変制御性T細胞を得る事ができなかった。Foxp3発現の消失もしくは細胞そのものの消失の原因を探るべく、認識する抗原と受容体下流のシグナルに更に変更を加えたキメラ抗原受容体をこれまで以上に多数作製し、これらを発現させた改変制御性T細胞のプールを生体に移入し、残存する制御性T細胞の解析を行っている。このような受容体の持つ特性(認識抗原や下流のシグナルの特性)についての知見を集積中である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件)
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