研究課題
本研究の目的はデータにもとづいて動的環境におけるプレイヤ(とくに電力市場の事業者など)の振る舞いを分析する基盤技術を構築することである.前年度に引き続いて,定量的評価基盤のための,様々な反実仮想分析技術,例えばオンライン取引における需要推定や評判システムの評価に用いられる技術を調査した.ここではプレイヤの振る舞いの構造をパラメトリックに表現した動学ゲームを設計し,解かなければならない.そこで,相手の行動を見間違えるというごく自然な仮定(不完全観測)における振る舞いのモデルの動学ゲーム理論的分析手法を開発した.具体的には,複数の路線で競争する航空会社のように,プレイヤが複数のゲーム(市場)を同時にプレイする「多市場接触」下において,どのような振る舞いが均衡として実現するかを明らかにした.不完全観測下の多市場接触では,どんな振る舞いが均衡として実現するかはほとんど知られていなかった.これに対して,世界で初めて非自明な振る舞いのクラスの特徴付けに成功し,その成果が人工知能分野のトップ会議であるAAAIに採択された.一方で,電力市場などの売り手と買い手をマッチングさせる市場を設計するために制約付きマッチングの数理構造を吟味した.まず地域上限制約付きマッチングの問題を一般的な整数計画法で記述した結果,この安定マッチングを求める問題は,選好にタイや受諾不可能な相手がある場合の最大安定マッチングを求める問題と等価であることがわかった.このため,最大安定マッチングのためのアルゴリズムが制約付きマッチングに適用できる.しかし,マッチ数に関するバウンドを規定するのは難しく今後の課題となっている.これに関連した研究成果はマルチエージェント分野のトップ会議であるAAMASに採択された.
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Proceedings of the 34th AAAI Conference on Artificial Intelligence (AAAI-2020)
巻: 1 ページ: to appear
Proceedings of the 18th International Joint Conference on Autonomous Agents and Multiagent Systems (AAMAS-2020)
巻: 1 ページ: 602~610
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