共同研究先であるルンド大学水資源工学部門へ、2018年9月25日より連続して6ヵ月間渡航し、共同研究を進めた。また最終年度における2019年8月10日からの1ヶ月間の渡航では、研究成果の取りまとめと成果発表を進めた。研究対象としている地域が長崎県の島原半島であるため、データ回収などの作業のため、渡航期間中2度帰国した。また、期間中、米国ワシントンDCで開催された国際会議(AGU Fall meeting)において研究成果の一部を報告した。本研究は、地下水流動および物質輸送解析モデルの構築とそれを利用した硝酸性窒素汚染のシミュレーションが中心となる。そのため、2種類のフリーソフトウェアを試用したところ、当該分野で広く使われているMODFLOWをベースとした、サンタナ大学院大学(イタリア)で開発されたモデル(Freewat)が適していることが分かり、半島スケールおよび市スケールで並行してモデル化をすすめた。渡航期間中、サンタナ大学院大学を訪問し、今回のモデル化に対する助言を受けた。また、国際応用システム分析研究所(オーストリア)を訪問し、グローバルスケールのモデル化に関する意見交換も行った。モデル化において、格子数上限の問題などから、いくつかの過程を簡略化した半島スケールのシミュレーションによると、選択された水源における現状の平均的な硝酸性窒素濃度は、過去40年程度の窒素負荷によるものと推定され、また直ちに負荷量を40%削減できれば、20年後には平均濃度で基準値を満たすという結果が得られた。最終年度には、成果の一部を論文として投稿した。2019年の9月には成果発表の一部として、ベルギー王国リエージュ大学で開催された地下水水質に関する国際会議(Groundwater Quality 2019)において、半島スケールの数値シミュレーション結果について口頭発表を行った。
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