研究期間の延長を行った2020年度には,状況が許せばソウル国立大学に短期滞在し現地での研究活動も行う予定であった.ところが新型コロナウイルス感染症問題が引き続き改善しないため,日本国内のみでの研究活動を余儀なくされた.ただしオンライン開催された国内外の研究会・学会の場において成果発表をすることもできた. 2020年9月には,科研費主催研究会「地理的・系統的に見たサハ語文法」をオンライン開催した.これは同年3月に出版した『サハ語文法: 統語的派生と言語類型論的特異性』の合評会としてチュルク語学やチュルク語音韻論の立場からのレビューを受けたものである. 2020年12月には,第18回言語学分野公開講演会(名古屋大学・オンライン開催)において「サハ語の名詞述語文: 動詞句を入力とする派生を中心に」と題する講演を行った. 同じく12月には,2020世界韓国語大会(ソウルドラゴンシティホテル・オンライン参加)において「言語類型論から見た北東アジアのアルタイ諸語と韓日語の膠着性」と題する招待講演を行った. 2021年1月には,韓国言語類型論学会第13回国際学術大会(オンライン開催)において,「Rethinking the agglutinativeness of Korean and Japanese: A typological study through contrastive analysis with Northeastern Eurasian languages」と題する招待講演を行った. 年度末にはチュルク諸語の証拠性に関する論考2本とサハ語の所有構造に関する論考を発表するとともに,金周源「韓国のアルタイ諸語研究の現状と展望」の共訳を担当した.
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