従来、公民権運動はマーチン・ルーサー・キング牧師が率いた運動、あるいは、そうでなくても「黒人の黒人による黒人のための」地位向上運動と捉えられがちであった。本研究は、ニューヨーク市立大学クイーンズ・カレッジの学生の活動に着目することで、公民権運動の担い手が著名な活動家や大きな組織だけではなかったことを確認するとともに、ユダヤ人、特に大学生などの若者を中心とした所謂「リベラルな白人」の貢献があったことを明らかにした。特に、学内やニューヨーク市内で展開された活動を追うことで、より日常生活に近い場所で運動に参加した「普通の人たち」の意識や行動の実態、参加の動機などを解明できた。
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