研究課題
本研究課題の最終年度では、オランダの文書館で収集した一次史料を引き続き整理・分類し、分析を進めた。そうした分析の結果を、共同研究者であるハン・ファン・ルーラー教授とオンライン上で共有し、議論を重ねた。また、前年度にロッテルダム大学で開催した国際会議での発表原稿をもとに、オランダの学術雑誌での特集を組むために、共同研究者と作業を行った。年度の後半は、これまでの研究成果を発展させ、さらには日本の若手研究者との交流を深めるために、共同研究者を日本に招聘し、いくつかのワークショップや研究会に参加した。10月25日には、東京大学の鈴木泉教授が組織した研究会で司会を務め、共同研究者の発表、さらには質疑応答を通して、若手研究者との交流を深めた。10月26日には、研究代表者の所属する立教大学において、公開シンポジウム「近世哲学とキリスト教 : 正統と異端のはざまで」を開催した。本シンポジウムは、立教大学大学院キリスト教学研究科と日本ライプニッツ協会の協力もあり、上野修(大阪大学)、津崎良典(筑波大学)、川添美央子(慶應義塾大学)、長綱啓典(日本大学)、町田一(日本ライプニッツ協会)を招聘することができた。当日は、発表者たちの活発な議論に加えて、西洋哲学・宗教研究に携わる多くの研究者たちも参加し、本研究課題と密接に関連する主題についての議論を深めることができた。補助事業期間全体を通じて実施した研究の成果についていえば、近世オランダにおける知的ネットワークを分析することで、当時最先端と目されていたデカルトの自然の理解や哲学が、既存の宗教や政治体制へどのような影響を与え、また、これがどのような論争を生んだかを明らかできた。また、当時の哲学と神学、科学と宗教の関係をデカルト主義者たちを中心に分析することで、従来の哲学史の理解を部分的に修正するに至った。
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