研究課題
2021(最終)年度の研究成果としては、9月に京都大学で行われた国際学会East Asian Enviromental Historyでの発表があげられる(ZOOM参加)。また、本研究を発展させた企画のため2022年度国際共同研究加速基金(B)を申請予定のため、日本とスイスをZOOMで結び、9月と2月(2022年)に本研究成果の課題と今後の計画・展望について意見交換を行った。期間全体を通じての成果は以下の通りである。本研究は、環太平洋地域における商品作物の技術移転と流通の考察を通じて、島嶼植民地に対する複数帝国(欧米、日本)の植民地支配の重層的影響力を検討することを目的とした。これまで、一帝国の一植民地に関する研究は多くあったが、本研究では製糖業やコーヒー産業などグローバルな商品作物に着目することによって、1)複数帝国・植民地の折り重なる力学、2)太平洋島嶼植民地の横断的繋がりを明らかにすることができた。1)に関しては、アメリカ準州ハワイで日本人が得た知識・技術・資本が、日本の熱帯植民地(台湾や南洋群島)の農業政策や実践には欠かせない要素であることがわかり、太平洋地域の植民地史を複数帝国と植民地の関わりから見ていく重要性が浮き彫りとなった。2)に関しては、カリブ海を中心とした大西洋の糖業に対抗する形で、ハワイを中心とした太平洋地域の糖業の連携が製糖関連企業・技術官僚等によって図られており、その連携は宗主国の勢力圏とは異なる地政学的構図を提示することが明らかとなった。よって、本研究は19-20世紀にに欧米・日本帝国によって分割された太平洋世界の歴史的検証において、複数帝国の視点のみならず、植民地間を繋ぐ知識・技術・資本に着目することの重要性を実証することができた。今後は、オーストラリアやフィリピンなども含めることで、さらに研究を発展させる予定である。
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