唐王朝が造営した長安城・洛陽城などの都城は、東アジア各国や西域都市などに広く展開した点が知られている。本研究では、唐代都城の展開過程の具体像を明らかにするため、東と西の大きな枠組みで国際的な比較作業を行った。結果、唐代都城の展開過程に関しては、アジア東西で大きく異なる点が判明した。西域のシルクロード都市では、唐の軍事的拡張に伴って機能的な都市が造営されたのに対して、東アジアの渤海や日本では、中華の皇帝を中心とする思想空間が各国の王都として再現された点が明らかになった。唐代都城は単なる模倣によって展開したわけではなく、受容側の主体的な選択によって都市空間が再現された点に歴史的意義が見いだせる。
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