イスラームの多数宗派であるスンナ派は、社会がハディース(預言者ムハンマドの言行に関する伝承)を典拠とする預言者のスンナ(慣行)に立脚すると主張し、11世紀頃の西アジアで確立された。本研究は、スンナ派の形成・浸透の歴史的過程の解明に向けて、10~13世紀の西アジアにおいて「ハディースの徒」と自称したウラマー(イスラーム宗教知識人)に焦点を当て、国際共同研究によって、彼らの知的実践を研究した。その結果、「ハディースの徒」は、ハディースをめぐる知的実践を通してハディースの真正性を評価する理論と方法を発達させ、その理論と方法を柔軟に活用して、社会の様々な事柄をスンナに結びつけたことが明らかになった。
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