本研究は、ネットワーク、階層性、補完性の概念により、国際金融センターの機能を、借り手の視点を明示した上で示すことを目指した。金融センターは資金移動の方向により「借入センター」「貸出センター」「借入・貸出両建てセンター」に分類することができた。「両建てセンター」は貸し手かつ流動性の受入先である。その枠組みの中で「借り手」、「貸し手」、「金融仲介」とその所在地を示し、それぞれニーズの相互関係を検討した。その結果、国際金融センターと新興工業国の経済発展の関係は、貿易と長期資本輸出における基軸通貨の利用と、支払い準備の国際金融センターでの保有によって、自己強化的な関係となっていることを明らかにした。
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