最終年度(2019年度)は、9月27日(金)に学習院大学で実施した日独労働法シンポジウム「労働者概念と労働時間法の最近の展開」の実施とその成果発表に注力した。 シンポジウムでは、ドイツから、ロルフ・ヴァンク教授(ボーフム大学)、フランツ・ヨゼフ・デュヴェル元連邦労働裁判所裁判長裁判官、リューディガー・クラウゼ教授(ゲッティンゲン大学)、フォルカー・リーブレ教授(ミュンヘン大学)およびカーステン・ハーゼ弁護士を招へいし、EU・ドイツにおける労働者概念と労働時間法制の最近の動向について、ご講演をいただいた。日本側からは、労働者概念について、皆川宏之教授(千葉大学)、労働時間法制について、高橋賢司准教授(立正大学)にご報告をいただいた。同シンポジウムは、日独の労働法の研究者および実務家の学術交流団体として、20年間活動している日独労働法協会の後援をえて開催され、同協会会長の和田肇名古屋大学名誉教授から開催の挨拶をいただくことができた。講演原稿の翻訳も、研究代表者のほか、ドイツ労働法について、精力的に研究をしている研究者(緒方桂子教授〔南山大学〕、細谷越史教授〔香川大学〕、桑村裕美子准教授〔東北大学〕、後藤究氏〔中央大学博士課程〕)に行っていただくことができ、日本のドイツ労働法研究の水準の高さを示すことができた。 その後、このシンポジウムの成果を研究代表者の編著『EU・ドイツの労働者概念と労働時間法』として、信山社から2020年3月に出版することができた。 このシンポジウムの開催およびその成果の出版によって、日独の学術交流を進めながら、デジタル化・グローバル化および少子高齢化の進む日独の労働法の課題について検討を行うという本研究の成果として、十分な成果を残すことができた。
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