本研究は,日本人がアメリカ人ほど見知らぬ他者に対して援助行動をとらないのは,他者が援助を希望しているのか確信が持てないためであること,また,相手に悪い印象を与えたくないという動機が強いためであることを明らかにした。さらに,日米両国において,他者の幸福を高めたいという動機が強い人(思いやり目標をもつ人)ほど,見知らぬ他者に対して援助をすることや,友人の援助に費やす時間が長いこと,非ゼロサム的な時間の捉え方(人のために費やす時間は自分のための時間でもあるという捉え方)をすることがわかった。なお,非ゼロサム的な時間の捉え方をする人ほど,援助に対する満足感,時間のゆとり,人生の満足感が高かった。
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