研究課題
本研究の中心テーマは、「デフレ下における、財の新陳代謝と企業の価格設定行動」である。日本の失われた20年、および、デフレの解明については、これまでにも多くの研究の蓄積があるが、本研究の意義は、理論・実証の双方から、財および企業の新陳代謝(入れ替え)や家庭内在庫を考慮した分析を行う点にある。本研究では実証・理論双方の観点から分析を行った。価格の大規模データ(小売店舗のPOSスキャナーデータや家計の購買・消費・在庫行動を記録したホームスキャンデータ)を用いることで、詳細な財ごとに、その価格や販売数量の特徴、新陳代謝、家計の在庫保有行動などを明らかにした。また、東京商工リサーチによる企業の個票データを用いて、企業の新陳代謝、特に緩慢な退出に焦点を当てた分析も行った。退出を遅らせる摩擦(補助金など)によって、生産性の低い企業が市場に残り、経済全体での効率性が低下し、経済成長率の低下や厚生の悪化を招く可能性を考慮したモデルを構築した。そして、実際のデータからその妥当性をチェックしたうえで、摩擦の変化による経済への影響を定量的にシミュレーションした。また、寡占市場における企業の価格設定行動に着目した分析も行った。本年度、2本の論文で学術誌への掲載が決まったほか、2本の論文で学術誌からのR&R要求を受けた。どの学術誌とも国際的評価は高い(経済学でトップ30)。また、新たに1本の論文をワーキングペーパーとして発表した。
すべて 2022 2019
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
International Economic Review
巻: - ページ: -
10.1111/iere.12558
Journal of Money, Credit and Banking
10.1111/jmcb.12909