本研究では,金融資本市場の不完全性として,企業の資金借入制約問題,また企業経営者と投資家との間の非対称情報問題を勘案した上で,数理ファイナンスのオプション価格式を適用した理論モデルを構築した.特に,本研究では,金融資本市場の不完全性を仮定することにより,企業金融の中心課題である企業の投資行動と資金調達との間の相互作用について明らかにした.さらに,本研究では,その相互作用を勘案した理論モデルを用いて,投資タイミングや投資量,最適資本構成,倒産確率,負債のクレジットスプレッドなどの財務指標を推計した.
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