本研究の目的は,認知行動療法(CBT)のセッションの様子を録画した動画を用いて,CBTプログラム内におけるセラピスト-子ども-親の間の相互作用の分析を行い,日本と欧米諸国の比較を行うことであった。 日本側のデータは,科研費(基盤C)の採択課題である「児童青年の不安・抑うつに対する認知行動療法の有効性(平成25-28年度)」のトライアルで得られた動画データを活用した。 2021年度は,研究成果発表として,国際誌であるBehavior Therapyへの投稿論文の改稿作業を行った。前年度までに改稿の機会を与えられたため,修正点について改訂を行い再投稿を行った。その結果,2021年に本研究は,Behavior Therapyに掲載されることとなった。また,国際学会であるThe 55th Association for Behavioral and Cognitive Therapiesにおいても,本研究の成果を発表した。 本研究の結果,日本とオーストラリアの子どものCBTにおけるセラピスト-子ども-親の間の相互作用の違いが明らかになるとともに,治療結果に影響を及ぼす相互作用に関する変数が明らかとされた。以上の結果から,CBTの文化的適応に関する臨床的な示唆が得られた。
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