研究実績の概要 |
2018年度の約9か月にわたる米国マイアミ大学RSMAS研究所の滞在で得られた研究の解析データを整理するとともに、昨年度に受理された投稿論文に含むことのできなかった研究成果を投稿論文や指導する修士学生の論文としてまとめた。 昨年に受理された投稿論文では、赤道波の種類毎に雲・降水との結合メカニズムがどう異なるかを、大気中の水蒸気の予報式を鉛直積算した水蒸気収支式を基に、降水とのコヒーレンススペクトル、位相スペクトルに着目して調べた。そこでは、本国際共同研究における主目的である、マッデン・ジュリアン振動(MJO)に関しても、赤道波と対比する形で、発生・発達メカニズムについて新しい知見を示している。2019年度はこれを発展する形で、鉛直に積算するのではなく、鉛直構造自体に着目しながらMJOと赤道波の違いについて調べた。また赤道波やMJOの本解析で用いた手法を応用して、東インド洋の赤道付近の多雨域における水蒸気収支式を調査することで、この多雨域の新しい形成メカニズムの提唱に至った。更に、東インド洋の多雨域における降水の、初冬季の日本への遠隔影響についても明らかにした。 MJOと赤道波の鉛直構造に関する研究成果については、国際学会(100th American Meteorological Society Annual Meeting (Boston, Massachusetts, USA)などで発表するだけでなく、研究論文の形でまとめ上げて、査読付きの専門誌に投稿し受理された。また、東インド洋の赤道付近の多雨域に関する研究成果に関しては、指導する学生の修士論文としてまとめるとともに、研究論文として投稿する準備を進めた。更に、東インド洋の多雨域における降水の、初冬季の日本への遠隔影響については、研究論文の形でまとめ上げて、査読付きの専門誌に投稿し受理された。
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