赤道域では,日本の位置する中緯度と違って温帯の低気圧は存在せず,雲・降水の発達は赤道波やMJOとよばれる擾乱よって大きく影響を受けている.しかし,「どのように影響を受けているか」については分かっていない.大枠での理論体系がほぼ確立している中緯度に比べて,熱帯気象学の未成熟さを表しており,本研究成果は熱帯気象学の確立のための大きな意義を持つ.また天気予報のベースとなる数値予報で用いられる数値モデルにおいて,熱帯の降水活動の再現性が低く,1週間以上という中・長期の天気予報の精度向上の足かせとなっている.このことから本研究成果は,社会的にも重要な役割を果たしている天気予報の精度向上にも貢献し得る.
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