研究課題
平成30年度は,前年度の滞在時に採取したイタリアの上部三畳系炭酸塩岩を対象とした試料(シチリア島,ラゴネグロ地方の石灰岩)について分析試料を作成し,地球外物質に豊富に含まれる親鉄元素の定量分析(蛍光X線分析装置および誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた主要・微量元素濃度の定量分析)を行なった.また本年9月-10月の滞在時には,イタリア北部南アルプスの三畳系石灰岩セクションを調査し,追加の分析試料を採取した.衝突イベントが起こった年代におけるコノドント化石の絶滅記録解読については,12月から1月の2ヶ月間マニュエル・リゴ博士を日本に招聘し,詳しい化石層序の検討を進めた.その結果,天体衝突が起こったとされるノーリアン後期において,コノドント化石の小型化および大きな群衆変化がみられることが明らかになった.さらにその年代を中心に酢酸法によるコノドント化石の抽出を進め,オーストラリア国立大学において二次イオン質量分析による酸素同位体比測定およびストロンチウム同位体比の分析を行った.その結果,衝突が起こった年代付近において,大規模な海水温の変化が起こったことが明らかになった.またこれらの研究と並行して,有機炭素同位体比(δ13Corg)と全有機炭素濃度(TOC)の測定を,パドヴァ大学地質科学科設置の元素分析計オンライン質量分析計(Delta Plus Advantage)を用いて行った.その結果,ノーリアン後期の隕石衝突イベント付近の年代では,急激な有機炭素同位体比の負のシフトが確認された.以上の研究成果の一部は論文執筆を共同で行い(本年度は2編の共著論文を公表),さらに共著論文公表の準備を共同で進めている(現在1編投稿中).
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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