研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
高温で半金属、低温でナローギャップ半導体となるウランカルコゲナイドβ-US2について、核磁気共鳴(NMR)法を用いて電子状態について調べた。この化合物は、低温強磁場中で半金属的伝導性が復活することが知られていたが、NMR実験の結果、バンドギャップは強磁場中でも閉じておらず、RKKY相互作用を通じて周辺局在スピン偏極を纏った少数キャリヤーが磁場中で動きやすくなった「磁気ポーラロンモデル」で説明できることが明らかとなった。
固体無機物性
ウランカルコゲナイドβ-US2の低温状態は「磁気ポーラロン」半導体の理想形と考えられる。「磁気ポーラロン」とは少数キャリヤーがRKKY相互作用を通じて局在スピン偏極を周辺誘起した状態である。本研究によってβ-US2で得た磁気ポーラロンに関する微視的知見によって、希土類カルコゲナイド研究の再興や新しい磁性半導体創製への指針が得られるものと期待する。