本国際共同研究では、車両に備えた無線端末の通信状況を送受信端末の位置情報とともにクラウド上に集約し、位置情報に紐づけた無線信頼度および電波伝搬モデルの自己組織的な構築を行うことにより、不確定性の高い車両無線ネットワークの通信性能をあらかじめ保証する機能を備えることで、無線通信がアシストする自動運転に必要な、高信頼・低遅延・大容量通信を必要とする高度車両無線ネットワークの実現を目標として研究を行っている。 2018年3月20日に米国に渡航し、2018年9月30日に帰国するまでUC Berkeleyを拠点として、Toyota InfoTechnology Center USAに週1-2度訪問する形で研究を進めた。UC Berkeleyとは「課題A:車両観測データ収集による車両間電波伝搬の自己組織的モデル化の検討」を実施し、構内のテストコースを使って車両間通信の実観測および無線環境のデータベース化を行う実証実験を行った。2019年度には観測データを基にした通信信頼性予測の補間技術に関する検討を継続して行った。2019年11月には現地を再訪し、研究報告を行い、今後の継続的な研究協力について同意した。 一方、Toyota InfoTechnology Center USAとは、「課題B:無線環境自己学習機能を用いた高度車両間無線ネットワークの検討」を実施した。最新の研究動向の把握や、車両ネットワークのシミュレーション手法についての意見交換と、実験用無線機について協働でのソフトウェア開発を実施した。2019年度には、UC Berkeleyでの実験結果に対して、実験だけでは把握できない車両位置の影響によるパケット誤りについて、解析とデータベース化した統計値を組み合わせて正確に判定する手法について検証し、2019年11月に再訪し、研究応用手法について継続的に意見交換することで同意した。
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