がん微小環境におけるがん細胞とその周囲の細胞外マトリクスの力学的特性の変化に対し、時空間変化する酸素濃度が与える影響について研究を行った。細胞周囲の酸素分圧と細胞に対する力学的刺激および化学的刺激を厳密に制御して生体内微小環境を再現する「3-in-1生体模擬チップ」を開発して実験に用いた。コラーゲンゲル内に配置したヒト乳腺がん細胞(MDA-MB-231細胞)の増殖率や遊走速度は、低酸素下において常酸素下よりも増加したが、血管内皮細胞との共存培養下ではその酸素依存の挙動が不明瞭になった。また、共存培養下ではコラーゲンゲルの退縮が促進されたが、低酸素下では常酸素下よりも退縮速度は遅くなった。
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