本共同研究の目的は,Berkeley/PMCが有する先進ダイヤモンド工具レーザ成形技術と,申請者独自のプラズマ援用クーラント技術の融合連携を図ることにより,工具の作製から活用まで一気通貫で実現するプロセスチェーン開発である.先進ダイヤモンド工具の加工性能を最大化させるために,最適工具形状の調査,フェムト秒レーザ成形プロセスの確立,加工性能評価方法などを派遣先にて現地研究担当者と十分に協議するため,数回の現地訪問を行った.本年度は,フェムト秒レーザを用いて微細ダイヤモンド工具そのものの高能率成形技術開発に注力した.フェムト秒レーザ(平均出力10 W,パルスエネルギ20 μJ)を用いた工具成形プロセスを確立した.総加工時間を1時間以内に抑え,工具を加工機上から取り外すことなくワンチャックで最終形状まで成形できることを確認している.さらに,ダイヤモンド工具のレーザ成形プロセス開発において,将来の先進ダイヤモンド工具の更なるニーズ拡大を見据え,平均出力100 W(パルスエネルギ500 μJ)のフェムト秒レーザへと本プロセスを移行するためのシステム構築を実行した.一方,レーザプラズマを閉じ込めて粒子加速させる小型の装置が開発され脚光を浴びているが,同装置のキーパーツとなるレーザガイド(サファイア製キャピラリ)をいかに精度よく作製できるかがカギとなっている.本共同研究の新しい展開として,二つの要素技術〈フェムト秒レーザによる高能率・迅速プリフォーミング〉,〈微細多結晶ダイヤモンド(PCD)ミーリング加工による高品位・高精度仕上げ〉 をシームレスでリンクすることで,サファイア製キャピラリを創製するプロセスチェーン開発にも着手した.
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