研究課題
イギリスのニューキャッスル大学とアメリカのハーバード大学での海外研究後、後続実験を日本で行ってきた。これまでに、脂肪酸合成系の合成生産物である脂肪酸が脂肪酸合成酵素を不活性化すること、またこれによるin vitro再構築系での反応阻害が分かっていた。この問題を解決するためにPlsXとPlsYによる脂肪酸合成系からの連続したリン脂質合成の再構築化に取り組んでいる。PlsXとPlsYが無細胞系により合成可能なこと、脂質膜へ局在することを確認している。さらに細胞と同じサイズのGiant Unilamellar Vesicle (GUV)内部で合成したところ、内部合成したPLSXとPlsYの膜局在も観察できた。無細胞合成した両酵素の活性を評価すルために、反応産物とその基質であるFA-ACP複合体を混合し反応を促したところ、プロダクトである各種LPAの合成がLCMS測定により確認できた。このことは、脂肪酸合成系とタンパク質合成系を共存させることでMalonyl-CoAからリン脂質を合成する反応がワンポットで再構築できることを示唆するものである。今後は、PlsXとPlsYを合成する無細胞合成系と、脂肪酸合成系を統合しGUV内部で反応させることを目指すこれにより、内部の代謝に起因した膜の自己成長と分裂の再構成を狙う。今年度の成果として、3報の共著論文(査読有)と15の招待講演があった。また、2020年度の国際競争的研究資金HFSPのリサーチグラント(PI車兪澈)に採択された。これは本件研究プロジェクトで滞在したアメリカハーバード大学の当時ポスドク(現在豪UNSW)のAnna Wangと共同でアプライしたものであり、本国際共同研究加速基金プロジェクトの明確な成果といえる。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 8件、 招待講演 15件)
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