研究課題
一流の瞬発系アスリートは速筋線維の割合が高く、一流の持久系アスリートは遅筋線維の割合が高いことが知られている。筋線維組成は大きく「速筋線維」と「遅筋線維」に分類される。速筋線維は大きな力を瞬間的に発揮する能力に優れ、遅筋線維は小さい力を長時間発揮する能力に優れている。トレーニングといった環境要因による筋線維の変化はわずかであることを考慮すると、筋線維組成の決定要因として遺伝的要素が高いことが考えられる。本研究は、ゲノムワイド関連解析や候補遺伝子アプローチから競技力の規定要因として重要な筋線維組成を規定する遺伝子多型を明らかにし、さらに運動能力との関連を検討することである。今年度は、筋線維組成(ミオシン重鎖アイソフォーム:MHC)に関連するゲノムワイド関連解析見つかった遺伝子多型と骨格筋の遺伝子発現プロフィルを検討するため、24名の外側広筋から総RNAを抽出し、RNAシークエンスを実施した。筋線維組成に有意に関連した4つの多型のうち2つの多型は遅筋線維特異的なmRNAにも違いが認められた。また、貧血が速筋化と関連するという仮説が提唱されていることから、鉄の体内動態に影響を及ぼす複数の遺伝子多型と筋線維組成との関連について検討した。その結果、女性において鉄状態に関連する遺伝型スコアとMHC-IIa(年齢補正後 p = 0.020)およびMHC-IIx(年齢補正後 p = 0.011)の間にそれぞれ有意な正および負の相関関係が認められた。また、女性において、鉄状態に関連する遺伝型スコアが1ポイント上昇すると、MHC-IIa値が2.42%上昇し、MHC-IIx値が2.72%低下することが示された。
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