研究課題
昨年度までに、ハイドロダイナミクス法を用いた肝臓におけるin vivoゲノム編集が可能であることを示すとともに、独自のin vivoゲノム編集評価系を用いてHDRとNHEJの両方を評価できる独自の系を開発することに成功していた。今年度も同様の実験を継続し、導入プラスミドDNA(Cas9とgRNAを発現するプラスミド)の最適濃度を見出すことに成功した。ハイドロダイナミクス法でのゲノム編集には、導入するDNAに最適濃度が存在し、それを超えるとゲノム編集効率が落ちることが示唆された。本研究では、将来的な独自の遺伝子治療法開発を目指し、内在性遺伝子イントロンへの人工miRNA配列挿入がインスリン抵抗性の改善をもたらすかについても調べている。そのために、実際にAlbumin遺伝子のイントロン領域に人工miRNA配列を挿入(ノックイン)して独自のインスリン抵抗性関連遺伝子ノックダウンマウスを確立し、そのノックダウン効果を調べるとともに、インスリン抵抗性等の解析を行った。その結果、これらの遺伝子(Sepp1およびLect2)が期待通りに肝臓でノックダウンされていることをqPCRにて確認できた。そのノックダウン効率は遺伝子によって異なり、野生型と比較し、Sepp1遺伝子ではホモで1/10程度、Lect2遺伝子ではホモで3/10程度であった。いずれの遺伝子についても、ヘテロマウスはホモマウスのmRNA発現量の倍程度であった。また、これらのマウスについて耐糖能に関する評価を進めた。グルコース負荷、インシュリン負荷の実験系を確立し、高脂肪食を与えインスリン抵抗性の状態にした際の、遺伝子ノックダウンの影響を調べた。現時点ではSepp1ノックダウンマウスに関してのみ予備的な結果を得ている段階であるが、野生型とノックダウンマウス間での差を確認できている。今後、より詳細な解析が必要である。
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Cancers
巻: 12 ページ: 472
10.3390/cancers12020472