【研究目的】本研究では、細胞医療・細胞製品、医薬品等の品質・有効性・安全性の評価手法(毒性評価等)を提案することを目的に、申請者が見出した凍結細胞の毒性評価系をベースとして、その有効性・安全性を明らかにする。本年度は、これまでに得られた成果をもとに、①未分化および分化させた神経細胞のDMSOフリー凍結液での凍結保存、②肝細胞・組織構築物の創製と磁性微粒子の毒性試験について検討した。 【研究成果】本年度における各々の研究課題に対する主な成果をまとめた。①未分化および分化させた神経細胞を用いて、凍結保存液と膜障害について検討した。我々は、分化させた神経細胞の凍結保存に有効なDMSOフリー無血清凍結液を開発した。DMSOおよび血清フリーの代替物質は、細胞移植や再生医療における安全性を高める可能性が示唆され、今後の応用が期待される。②ラット初代肝細胞と頸動脈正常血管内皮細胞株であるHH細胞との共培養により作製した肝細胞・組織構築物に、性質の異なる磁性微粒子(臨床用MRI造影剤:リゾビストおよびカチオン性微粒子)を用いて、その増殖性、薬物代謝能、アルブミン分泌能を評価し、有意差は見られた。特に、細胞内に多く取り込まれるカチオン性微粒子による細胞毒性の影響は大きいと考えられる。 以上より、本研究では、細胞や医薬品・材料等の品質・有効性・安全性の評価手法を構築でき、学会発表、論文を通じて、国内外での今後の展望について報告している。
|