研究課題
本研究では、本基課題において独自に確立した抗がん剤の高精度多剤耐性予測法を内用放射線治療薬剤[131I]3-iodo-benzylguanidine([131I]MIBG)等の治療効果予測に応用するとともに、本邦単独では困難な問題点を米国内の研究施設との国際共同研究体制により克服することで当該内用放射線治療薬剤の細胞外排泄阻害剤の併用投与によるがん治療効果増強法を開発し、個人差の大きい内用放射線治療の治療効果を向上させることを目的としている。申請者は、[131I]MIBGを用いた神経内分泌腫瘍の内用放射線治療効果の個人差の要因が腫瘍細胞の多剤耐性と考え、平成29年度には[131I]MIBGの細胞外排泄に関与する排泄型薬物トランスポータの解明を目指し、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(MDACC)との共同研究を開始した。MDACC内で小児がんの研究を行っているKleinerman教授の支援を受け、MDACC内で使用可能な単一排泄型トランスポータ強制発現ベシクルを作成できたとともに、[131I]MIBGの治療対象となっている神経芽細胞腫の細胞株SK-N-SHとその遺伝子変異導入株を譲り受けMDACC内で実験を開始した。その結果、SK-N-SHには排泄型薬物トランスポーターmultidrug resistance-associated protein(MRP)が発現しており、[131I]MIBGはSK-N-SHに取り込まれた直後に、MRP1と4からがん細胞外に排泄されている可能性が考えられた。平成30年度には、米国National Institute of Mental Health(NIMH)とスタンフォード大学とも連携し、本がん治療効果増強法を確立するため実験環境を整えてきた。彼らは脳血液関門に発現する排泄型薬物トランスポータを阻害する様々な薬剤を所持しているため、令和元年度には、それらの阻害剤を本研究に適応した結果、MRP阻害剤の一つであるMK-571が[131I]MIBGにおけるがん治療効果増強法に有効であった。
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Nuclear Medicine and Biology
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