研究課題
高度経済成長期に大都市周辺に開発された郊外住宅地では一斉に高齢化が進み、とりわけ戸建て住宅地では、介護施設やサービス施設のための敷地条件に乏しく、空き家が増加している。このように自然発生的に高齢化が進んでしまった地域(NORC)では、今後、多くの地域が直面することになる数々の問題が凝縮されており、ここでの問題解決は、近未来の超高齢社会全体のデザインを行っていく上で極めて重要である。本研究では、社会的孤立を解消する異世代共生、多世代交流型コミュニティを構築することを目的とし、その実現のために、実践的な試行を交えての研究(アクションリサーチ)をおこなった。調査対象地は、K市I住宅地とY市T地域を主な対象地域として進め、Y市S団地における学生居住の試みを加えて考察の対象とした。住民と具体的な可能性についての活動をしつつ研究を進めた。1)高齢者自ら将来の生活設計をおこなうための実践と仕組み作り:地域で住み続けたいとする高齢者自身が、老後の将来のビジョンを描きながら主体的に生活設計をするための勉強会とワークショップを開催し、生活リフォームの仕組み、とくに空き部屋を活用した異世代ホームシェアと、継続居住のしくみづくりに向けて検討した。2)異世代ホームシェアによる高齢者見守りの仕組み作り:空き家予備軍(高齢者単身世帯等)の空き部屋を活用し、見守りのために他者が共生するための居室作り(ホームシェア)の条件について、説明会、学生による実験的居住などをおこない、ルール作りのための具体的素材を得た。3)空き家活用による住宅地域内分散型の介護システムの構築:地域に点在する空き家やその予備軍の住宅をネットワーク化させ、介護拠点等の分散整備を提案、既存住宅を地域に必要な施設へと転用改修、また独居世帯同士のシェア・集住、二拠点居住などにより、地域全体で継続居住するシステムを提案し町内会で検討した。
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