研究課題/領域番号 |
16KT0009
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
田邊 直仁 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (40270938)
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研究分担者 |
大橋 靖雄 中央大学, 理工学部, 教授 (00134461)
原田 亜紀子 中央大学, 理工学部, 助教 (00451774)
丹野 高三 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20327026)
喜多 義邦 敦賀市立看護大学, 看護学部, 准教授 (30147524)
上島 弘嗣 滋賀医科大学, アジア疫学研究センター, 特任教授 (70144483)
天野 秀紀 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究助手 (90260306)
佐藤 眞一 千葉県衛生研究所, その他部局等, 技監 (60450920)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | 要介護認定 / 介護保険 / 予測要因 / リスク推定モデル |
研究実績の概要 |
本研究は日本動脈硬化縦断研究(JALS)の派生研究であり、要介護認定を独自のエンドポイントとしてしている5コホートの多施設共同研究である。平成28年度中には各コホートが収集する情報項目の確定と各コホートで作成する統一データフォーマットの作成を行い、各コホートにおいて要介護認定にかかる情報の更新・整理を開始した。うち、2コホートでは統一データフォーマットによるデータ整理がほぼ完了した。 本研究では(1)健診成績等から要支援または要介護認定に至るリスク(要介護リスク)を予測するツールの作成、(2)要介護リスク低下に対する身体活動・運動や栄養・食生活の寄与の推定、(3)要介護認定から死に至る過程のTrajectory分析によるパターン化を目的としている。(1)(2)のためには、健診成績等と要介護リスクの関連性に関する分析が出発点となるため、本年度中には2つの各コホート内での危険因子分析と、一部の成績については分析結果の統合を予備分析として行った。BMIと要介護リスクの関連については研究代表者が過去に発表した他コホートでの論文の成績も参考まで統合した。BMIに関する予備分析結果では、普通体重(18.5-<25.0)を基準としたはハザード比(95%信頼区間)が、やせ(BMI<18.5)では1.37(1.15-1.64)、肥満(BMI≧25.0)では1.12(1.01-1.24)といずれも有意に要介護リスク上昇と関連していた。その他、低HDLコレステロール、糖尿病、喫煙、高血圧が要介護リスク上昇と関連する要因として示唆され、総コレステロールは要介護リスクとU字型の関係である可能性が示された。 (3)のTrajectory分析については鴨川コホートの分析結果をもとに、他のコホートでの分析アルゴリズムの検討を開始し、データ整理が完了したコホートから順次分析ができるように準備をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では当年度内に全てのコホートにおいて、過去に取得した要介護情報の整理を完了して予備分析を開始する予定であったが、2コホートを除き、予備分析に至らなかった。その理由として、各コホートで対応可能な情報整理の方法を調整して、統一データフォーマットを確定するのに予想以上に手間取ったことがある。また、いくつかのコホートにおいては過去に取得した要介護認定情報の整理より、新規情報の収集に必要となるフィールド市町村との調整や新規情報の収集活動を優先して行っており、データ整理は新規情報の収集後に行う方針になった。よって、予備分析の進捗が当初の予定よりやや遅れているのが現状である。 なお次年度早期には主要コホートにおいて新規情報を含む情報整理が終了して予備分析が行い得る状況にあり、予備分析終了後直ちに本分析にとりかかることが可能となる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で鍵を握るのは各コホートにおける要介護認定状況の把握と情報整理であり、次年度早期にその完了をめざす。情報収集とデータの整理が完了したコホートから順次予備分析を開始し、主要コホートの予備分析結果をもとに本分析の方針をたてる。以後は当初の予定通り、「研究実績の概要研究」で示した(1)のための健診成績関連危険因子の特定、および、そこから要介護リスクを推定する多変量モデルの作成、(2)のための、身体活動・運動および栄養・食生活要因と要介護リスクの関連性についての分析へと進める予定である。平行して(3)のためのTrajectory分析も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要研究」で示したとおり、いくつかのコホートでは当年度中にはフィールド市町村等との調整にとどまり、実際の情報収集活動まで至らなかった。そのため、情報収集活動に必要な経費や、各コホートでの情報収集・整理後に行われる出張統計分析を行うに至らなかったこと、および、その前提となる打ち合わせの回数が限られたことが、次年度使用額が生じた理由である。 また、一コホートでは外部に委託発注していた業務の納品が4月になったため、予定していた年度内執行ができずに次年度執行になった。
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次年度使用額の使用計画 |
新規要介護認定情報の情報収集活動が未完のコホートではその活動を本格化させることで、その必要経費を執行する。主要コホートの予備分析結果をもとに分析方針を確定させるための調整会議を行うことで旅費や会議費用を執行する。さらに、その分析方針に基づいて中央事務局から各コホートに出張して解析を行うことにより、統計解析担当の分担研究者の旅費、およびその研究補助者への謝金と旅費を執行する。予備分析結果等をもとに学会報告を活発化させるなど、学会での情報発信・収集活動に必要な経費を執行する。
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