研究実績の概要 |
最終年度に当たる本年は、次の5点の研究等を行うことで計画目標を遂行した。 1)2019年3月にGeorgetown University Round Table 2019にて、認知症診察会話において客観性を担保するための、介護者ナラティブに対する医者による非アライメントとして、a)Request for modification、b)Doubt for the situation to observation、c)Ensuring the diversity of resourcesといったスピーチアクトが取られることを発表した。 2) 2020年度4月に”Validation, Invalidation, and Negative Speech Acts in Dementia Care Discourse”と題した論文をHealth Communication, Frontier in Communication(Switzerland))より出版した。当論文では看護学概念である「バリデーション(VD)」について、語用論・間主観性やスタンス・テーキングといった指標から分析を行い、認知症コミュニケーションというジャンル特性を明らかにしようとした。 3)2019年8月に『認知症と言葉』研究会を開催し、医学・メディア研究・情報学・外国人介護者のためのICT等について日本、デンマーク、イタリア、マレーシア、イギリスとの多分野融合による国際研究会を行った。 4)サイエンスアゴラ2019にて「言語×情報学で創る未来の認知症ケア」として、認知症コミュニケーション上の言語学フレームによる「結束性」「背景付け」「個人化」といった要素が「BERT汎用言語モデル」や「身体バブリング」といった追体験技術により可能になるとの提言を情報学分野から受けた。さらに認知症対話ロボットに関する倫理問題等について社会心理学研究者をモデレーターとした市民との共話を行った。
|