研究課題/領域番号 |
16KT0016
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松尾 宇泰 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (90293670)
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研究分担者 |
山本 有作 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20362288)
多田 朋史 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 准教授 (40376512)
宮武 勇登 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (60757384)
星 健夫 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80272384)
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研究期間 (年度) |
2016-07-19 – 2019-03-31
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キーワード | 数値解析 / 有機エレクトロニクス / 構造保存解法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,材料設計のための大自由度電子状態計算を行う物理・化学者と,数値解析技法を探究する数理科学者の連携による,次世代・有機系エレクトロニクス材料の設計基盤の創出にある.このために,本研究においては「現象」と「計算」を結ぶのは数理構造であるという基本に立ち返り,大自由度材料の低次元表現から数値計算に至るまで,一貫した数理構造に貫かれた新しい材料設計基盤を創出し直すことを考える.この着想の原点となったのは,数値解析学で近年重視されている構造保存型数値解法の考え方であり,本研究においてはその考え方が数値計算法に対してだけでなく,大自由度有機系材料の低次元モデリングにおいても有効であるという仮説を立て,それを検証する.本研究計画は,(M1)一貫した数理構造探究班,(M2)抽出した数理構造に基づく離散化手法開発班,(M3)数理構造を保存する線形計算手法開発班,(A1) 超並列電子状態シミュレータ班,(A2)実問題応用班の5つの班により構成する. 本年度は,昨年度までに行ったパイロット研究および詳細な性能評価研究を以下のようにさらに推し進めた.まず,低次元数理構造抽出に役立つ種々の構造保存的モデル縮減法を開発した.例えばPoisson系に対して構造保存モデル縮減の研究を行った.ここでは非線形Poisson系のある種のクラスに対してはDEIMなどを使うこと無くPODのみによって計算コストが大幅に削減された構造保存モデル縮減が可能であることを示した.また,散逸的な系に対しても構造保存的モデル縮減が可能であることを世界的にも初めて明確な形で示した.一方,計算基盤においては量子ダイナミクス計算のための安定かつ高速な反復法ソルバの開発を行った.さらに総合的応用技術として,エネルギー保存型並列解法MB4に基づく2次元非線形量子ダイナミクス計算を行いその有効性を確かめた.
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