隠れマルコフ過程では,可視変数と潜在変数があり,可視変数のみが観測できる.本研究では,可視変数についてのk次までの記憶に基づく,可視変数についてのk次確率遷移行列に注目した.そして,可視変数についてのk次確率遷移行列から潜在変数と可視変数に関する遷移行列を推定する方法を与えた.具体的には,k次確率遷移行列からなる空間の幾何構造に注目し,その幾何構造に関するemアルゴリズムを適用する方法を提案した.そして,その提案手法での推定誤差の漸近的振る舞いについて明らかにした.隠れマルコフ過程を確率遷移行列で表す際に現れる同値性問題について,節空間のレベルで同値性がどのように記述されるか明らかにした.
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