研究課題
本研究の目的は、「生物共生農業」に「エコツーリズム」と「循環システム」の視点を加え、循環型生物共生農業の地域モデルを提示することである。(1)生物共生栽培田の生物多様性とコメの品質評価-羽咋地域での水田調査の結果、長期自然栽培に取り組んでいる水田では捕食者の多様性が増加し、害虫の多発生が抑制される傾向が認められた。慣行栽培田と比べ、自然栽培田では水稲収量が半分以下となるが、コメは良品質である。自然栽培田の水稲収量を向上させるうえで、竹粉砕物の施用が効果的であることが示された。(2)里山里海を観光資源としたエコツーリズムの市場調査-能登の観光に関する調査の結果、里山・里海を活用した観光資源のうち、輪島朝市や白米千枚田は高く評価されている一方で、農業体験や漁業体験に対する評価は高くないことが明らかとなった。また、農業体験に関する調査の結果、農作物の収穫や加工、およびそれを食べることが望まれていることが明らかとなった。(3)生物共生栽培米の市場調査と消費者行動分析-コメ購入の際は、一般消費者、業務仕入れ担当者ともに、食味が最も重視されていた。しかしながら、二番目に重視されている項目は、一般消費者では安全性、仕入れ担当者では、安全性に加えて安定的に購入できることであった。実際の自然栽培米の販売価格は、本調査で得られた消費者の支払意思額を考慮すると非常に割高であり、需要の拡大が難しい状況にある。(4)生物共生農業の振興策と持続可能性の検討-数理モデルを用いて当該農業の持続可能性を検討した結果、生物の個体数や、自然栽培米の販売量を増やすためには、保全努力や補助金だけでは十分ではないが、農家の同調性が高い場合は、補助金は有効となることが示された。消費者が自然栽培米を購入するための、自然栽培の生物多様性への影響を効果的に宣伝すること、エコツアーの取り組みを推進することが重要である。
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